東京地方裁判所 昭和63年(ワ)1617号 判決 1993年8月30日
千葉県松戸市稔台七七四番地一号
原告
坂本光男
右訴訟代理人弁護士
小室金之助
右訴訟復代理人弁護士
當山泰雄
右輔佐人弁理士
辻三郎
同
植田仁
東京都江東区亀戸六丁目二〇番七号
被告
三洋工業株式会社
右代表者代表取締役
山岸文男
右訴訟代理人弁護士
鈴木和夫
同
鈴木きほ
右輔佐人弁理士
土橋皓
主文
一 原告の請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 原告
1 被告は、別紙(一)ないし(四)記載の意匠に係るルーフベンチレーターを製造し、譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸し渡しのために展示してはならない。
2 被告は、右ルーフベンチレーター及びその半製品を廃棄せよ。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
4 仮執行宣言
二 被告
主文と同旨
第二 当事者の主張
一 請求の原因
1 原告は、次の意匠権(以下「本件意匠権」といい、その意匠を「本件登録意匠」という。)を有する。
登録番号 第五四四九四九号
意匠に係る物品 ルーフベンチレーター
出願日 昭和四九年二月二五日
登録日 昭和五五年九月一九日
登録意匠の内容 本判決添付の意匠公報の写し(以下「本件公報」という。)記載のとおり
2 被告は、別紙(一)ないし(四)記載の意匠(以下、順に「被告意匠(一)」、「被告意匠(二)」、「被告意匠(三)」、「被告意匠(四)」といい、これらをまとめて「被告意匠」ともいう。)に係るルーフベンチレーターを製造、販売している。
3(一) 本件登録意匠の要部は、次のとおりである。なお、以下において、本件登録意匠の各部位の名称は、別紙本件登録意匠の参考図のとおりである。
(1) ルーバータイプのルーフベンチレーターである。
(2) 外板の長手方向両端に妻板が設けられている。
(3) 外板及び妻板の基部周囲には水切板が設けられている。
(4) 妻板の形状が、左右の内側に向って傾斜した下部辺と、左右の内側に向って傾斜した中部辺と、左右の外側に向って傾斜した上部辺と、水平な頂辺とからなる。
(二) 右(一)の(1)ないし(4)を要部とする理由は次のとおりである。
(1) ルーフベンチレーターは、建屋の屋根上あるいは屋上に設置され、室内を外気に連通させて室内空気を換気するものであるから、陣笠と外板の上端付近との間隔で示される開口断面積を十分に大きく取り、換気効率を上げる必要がある。従来のタイプのルーフベンチレーターでは、陣笠の上に被さるように外板の上端が延びているので、外板と陣笠との間の開口面積を十分大きな面積とするため全高を高くせざるをえず、そのためルーフベンチレーターに作用する風圧が大きくなり、また、大型化して取付け作業が困難かつ高コストとなる欠点があった。
これに対し、ルーバータイプのルーフベンチレーターでは、陣笠の上に外板が被さらないので、全高を低くすることができるが、反面、陣笠と外板との間が広く開いてしまい、雨や塵埃の吹込みが心配されるので、それを避けるために、その間隔部分にルーバーを設けている。したがって、ルーバータイプのルーフベンチレーターでは、十分に大きな開口面積が得られる上、全高も低減できるので、作用する風圧を低減させることができ、小型化が可能となる。したがって、ルーバータイプのルーフベンチレーターは、従来タイプのルーフベンチレーターとは意匠面で別異の外観、形状をなすものとして区別されなければならないものであり、ルーバータイプのルーフベンチレーターであることは本件登録意匠の要部となるものである。
(2) ルーバータイプのルーフベンチレーターでは、乙第二号証、乙第八号証、乙第一四号証に示される意匠が、本件登録意匠の出願前に公知であるところ、右公知意匠と本件登録意匠とを比較すると、中部辺の形態が異なっている。すなわち、本件登録意匠では、中部辺が内側に向って傾斜した形態となっているのに対し、乙第二号証、乙第一四号証の意匠では、中部辺が垂直になっており、また、乙第八号証の意匠では、中部辺の形態が実質的にない状態となっている。したがって、右公知意匠の存在にもかかわらず本件登録意匠が登録された理由は、本件登録意匠における中部辺が内側に向って傾斜した形態になっており、これが新規な創作となって看者に異なった印象を与えると判断されたからであり、妻板の中部辺の形状が左右の内側に向って傾斜していることは、本件登録意匠の要部となるものである。
(3) 外板は、妻板の外郭である上部辺、中部辺、下部辺に相当する三次元的な膨らみをもっているところ、正面から観察しても二次元的にしかとらえることができないのに対し、妻板の外郭形態によって外板の形態を充分に把握することができ、したがって、外板を正面から観察した形態を要部から外しても意匠全体の特定に支障が生じない。そして、ルーバータイプのルーフベンチレーターにおいて、外板を正面から観察しなければ看取できない形態は、ルーフベンチレーターの長手方向の長さだけであり、ルーフベンチレーターは本来屋根上あるいは屋上に連続して設置されるものであるから、その長さの如何は意匠の要部に影響を与えない。また、本件登録意匠では外板の正面下部に下部ルーバーが見えないのに対し、本件登録意匠の類似意匠(意匠登録第五四四九四九号の類似一。以下「本件類似意匠」という。甲第七号証の一。)では外板の正面下部に下部ルーバーが見えるのであるから、外板の正面下部の形態は、本件登録意匠の要部ではない。
(4) 意匠は公知部分を含んだ形態の全体における統一的全体として把握され、考察されるべきものであること、意匠はその構成部分を総合した全体的なまとまりとして視覚的に看者に印象付けるものであり、ある部分が看者の注意を特に引く部分かどうかについてもその部分が全体に対してどれだけ影響力を及ぼしているかを全体的に考究すべきものであることに鑑みると、ルーバー、妻板、水切板は本件登録意匠の要部から除外すべきでない。
(三) 被告は、原告が本件登録意匠の出願経過における意見書及び審判理由補充書において、本件登録意匠が後記請求の原因に対する被告の認否及び主張の2(三)の(1)ないし(4)の各特徴を有し、この点において引用例と異なる旨を主張し、その結果、本件登録意匠の登録が認められたのであるから、右の範囲を超えた本件登録意匠の類似範囲を主張することは禁反言の法理によって許されない旨主張する。
しかし、原告は、本件登録意匠の出願の過程において、審判請求理由補充書等において引用意匠と出願中の本件登録意匠の個々の差異を主張しているが、それは単に個々の差異点を詳細に述べたのみであり、その差異点の全てを本件登録意匠の要部と主張しているのではないことは、右審判請求理由補充書等から明らかである。
また、包袋禁反言(ファイル・ラッパー・エストッペル)は、いわゆる禁反言の法理の一態様であるところ、禁反言の法理は、当事者及びその承継人間にのみ効力があり、第三者はこれによって拘束もされなければ、これを利用することもできない。したがって、本件訴訟において、第三者である被告は、禁反言の法理ひいては包袋禁反言の適用を主張することは許されない。
また、表示が意見又は確信の表示にすぎないときは、原則として、禁反言は発生しない。なぜならば、この種の表示は、意見又は確信を発表する当時において、表示者の心的状態がこのようなものであったという範囲においては、禁反言の法理の要件の一つである現在事実に関する表示ではあるが、この心的状態すなわち意見は、客観的現在事実とは異なり、表示者の任意に変更しうべきことを原則とするものであるから、後に至って前の表示と矛盾する表示を発表することを妨げないからである。そして、原告が意見書及び審判理由補充書において主張した事項は、形態上での差異を述べただけであるから意見の表示であり、かつその意見も意匠の要部であると主張するものではないので、本件登録意匠の要部を特定することに何ら影響を及ぼすものではない。
更に、包袋禁反言の原則は、文言によって権利範囲を定める特許権についての原則であり、この原則をそのまま図面によって表現されるだけの意匠権に適用することはできない。
したがって、被告の主張は理由がない。
4 被告意匠(一)ないし(四)の形態は、いずれも次のとおりである。
(一) ルーバータイプのルーフベンチレーターである。
(二) 外板の長手方向両端に妻板が設けられている。
(三) 外板の内部には陣笠が設けられている。
(四) 外板及び妻板の基部周囲に水切板が設けられている。
(五) 妻板の形状が、左右の内側に向って傾斜した下部辺と、左右の内側に向って傾斜した中部辺と、左右の外側に向って傾斜した上部辺と、水平な頂辺とからなる。
(六) 外板部分の正面形状が、上部面と中部面と下部閉塞面とからなっている。
(七) 内部に下部ルーバーが設けられていない。
(八) クロスバーが設けられている。
(九) 補強枠(乙第二一号証の各部の名称を示す参考図で排気誘導板とされているもの。)の上に上部ルーバーが設けられている。
5 本件登録意匠と被告意匠とを対比すると、次のとおりである。
(一) 本件登録意匠と被告意匠とは、ルーバータイプのルーフベンチレーターであること、外板の長手方向両端に妻板が設けられていること、外板及び妻板の基部周囲に水切板が設けられていること、妻板の形状が、左右の内側に向って傾斜した下部辺と、左右の内側に向って傾斜した中部辺と、左右の外側に向って傾斜した上部辺と、水平な頂辺とからなることにおいて、要部の構成が共通している。
(二) 本件登録意匠と被告意匠とは、次の点で具体的な形態上の差異がある。
(1) 本件登録意匠では、外板の正面下部に開放された面があり、その内側に下部ルーバーがあるのに対して、被告意匠では、外板の正面下部に閉塞面が形成されている。
(2) 本件登録意匠と被告意匠とでは、妻板の外郭における上部辺、中部辺、下部辺において、その長さ、屈曲角度が異なり、外板を構成する面の広狭及び屈曲角度が異なっている。
(3) 本件登録意匠にはクロスバーがないのに対し、被告意匠にはクロスバーが設けられている。
(4) 本件登録意匠では、補強枠を貫通して上部ルーバーが設けられているのに対し、被告意匠では、補強枠の上に上部ルーバーが設けられている。
(三) 右の差異は、いずれも前記の基本的なところでの共通点を凌駕するほどのものではなく、細部の差異にすぎない。その理由は、次のとおりである。
(1) 差異(1)について
ベンチレータにおいて、下部に通気孔を設けて換気容量を大きくすることは、慣用の技術的手段であって、ベンチレーターを設計するに当たって設計者が必要に応じて選択採用する程度の事項であり、このことは、ルーフベンチレーターにおいても同様であり、取引の実情においても別機能の製品として区分けされていないのであって、被告意匠の外板の正面下部の閉塞面に意匠的な創作性があるとはいえない。
また、本件類似意匠は、外板下部に下部ルーバーが露顕されており、この点で本件登録意匠と明確に相違しているにもかかわらず類似とされているのであるから、外板下部の形態は看者に強い印象を与えるものではなく、したがって、外板下部が閉塞面であっても類似の範疇を出ないというべきである。
被告は、本件登録意匠においても外板下部の開口を斜め下から観察すると下部ルーバーが露顕されると主張する。
しかしながら、建物の屋根上に設置されたルーフベンチレーターを下から見上げることはほとんど不可能であり、仮に可能であったとしても、相当離れた位置から見上げざるを得ないから、当該ルーフベンチレーターの意匠的な美観を看取することはできない。また、平坦な屋上に設置されたルーフベンチレーターを下から見上げることは全く不可能である。ところで、ルーフベンチレーターの需要者は建設会社や設計事務所等の技術的な専門家であり、このような需要者は、ルーフベンチレーターの製造業者が発行するカタログを見て、採用するルーフベンチレーターを決定し、価格牽制のためにルーフベンチレーターの製造業者二社以上に見積書を提出させ、この見積書を検討してルーフベンチレーターを発注する業者を指定し、決定したルーフベンチレーターを製造、納入させる。したがって、取引の実情において、需要者は、実際に設置されているルーフベンチレーターを見ることなく、ルーフベンチレーターの製造業者が発行するカタログを見て選択購入するのである。よって、被告の右主張は正しくない。
(2) 差異(2)について
ルーバータイプのルーフベンチレーターにおける公知意匠と本件登録意匠との妻板の差異は、内側に向って傾斜した中部辺と下部辺の形態であるところ、ルーフベンチレーターは、比較的細長い形態となっているため、妻板が看者の注視する部分であり、創作者も主として妻板の形状に美的創作を集中させるのであるから、内側に向って傾斜した中部辺と下部辺の角度や幅に多少の差異があっても、右のように折れ曲がった中部辺と下部辺とをもつ形状の妻板に創作性があるものとして類似の範囲を広く解すべきである。
本件登録意匠と被告意匠の差異を具体的に見ると、妻板の中部辺と下部辺との長さの比率が、本件登録意匠では一対〇・五であるのに対し、被告意匠では一対一・三であり、妻板の中部辺と下部辺との折れ角度が、本件登録意匠では一三〇度であるのに対し、被告意匠では一六〇度である。この差異は、ルーフベンチレーターにおいて、中部辺が短く下部辺が長いものと、中部辺が長く下部辺が短いものが類似であるとする類似意匠の審査例、中部辺と下部辺の折れ角度に相違があっても類似であるとする類似意匠の審判例が存在することなどからすれば、従来の審査例における類似の範囲に含まれるものである。
(3) 差異(3)について
本件登録意匠ではクロスバーが設けられておらず、本件類似意匠にクロスバーが設けられていることからすれば、クロスバーの有無は看者に強い印象を与える要部ではない。
(4) 差異(4)について
本件登録意匠では上部ルーバーが補強枠を貫通して設けられているのに対し、本件類似意匠では補強枠の上に上部ルーバーが設けられていることからすれば、上部ルーバーが補強枠を貫通して設けられているものと、補強枠の上に上部ルーバーが設けられているものとは、類似するというべきである。
更に、補強枠の取付け数の多少は、設計上の耐強度の面から定められるものであり、意匠の面で看者に強い印象を生じさせることはできない。
(四) 右のとおり、被告意匠は、いずれも本件登録意匠とその要部を共通にし、細部において差異があるにすぎないから、被告意匠は、それぞれ本件登録意匠に類似するものであり、被告意匠に係るルーフベンチレーターを製造、販売する被告の行為は、本件意匠権を侵害するものである。
6 よって、原告は、被告に対し、本件意匠権に基づき前記第一、一1、2のとおり、被告意匠(一)ないし(四)に係るルーフベンチレーターの製造等の差止め及び右製品等の廃棄を求める。
二 請求の原因に対する被告の認否及び主張
1 請求の原因1及び2は認める。
2(一) 請求の原因3(一)ないし(三)は争う。
(二) 原告主張の要部は、次のとおりいずれも公知の形態であって、本件登録意匠の要部とはなりえない。
意匠の類否は、両意匠を全体的に観察し、意匠の要部を対比することによって判断すべきものであるが、右にいう要部とは、公知意匠がある場合には公知意匠にない新規な部分で見る者の注意を強く引くと認められる部分をいうものと解すべきである。したがって、登録意匠に公知の部分が含まれている場合には、その部分は、当該意匠に固有の特徴ではなく、類似範囲を画定するための要部にはなりえないものである。
そこで、原告が本件登録意匠の要部であると主張している事項についてみると、ルーバータイプであること、外板の長手方向両端に妻板が設けられていること、外板及び妻板の基部周囲には水切板が設けられていること、の三点について具体的な形状が全く特定されていない上、ルーバーについては、甲第一七号証の一ないし六、乙第二号証、乙第四号証、乙第八号証、乙第一四号証、乙第一七号証、乙第一八号証の公知例、妻板については、甲第六号証の二、甲第一七号証の一ないし六、乙第二号証ないし乙第八号証、乙第一二号証ないし乙第一八号証の公知例、水切板については、甲第六号証の二、甲第一七号証の一ないし六、乙第二号証ないし乙第四号証、乙第六号証ないし乙第八号証、乙第一二号証ないし乙第一八号証の公知例がある。
よって、右三点は、ルーフベンチレーターにおける公知の一般的構成部分を列記したものに過ぎず、本件登録意匠の要部とはなりえない。
更に、妻板の形状が、左右の内側に向って傾斜した下部辺と、左右の内側に向って傾斜した中部辺と、左右の外側に向って傾斜した上部辺と、水平な頂辺とからなるとの点については、記述の意味が不明瞭であって、妻板の形状を特定し難いが、乙第五号証、乙第一二号証、乙第一八号証に示された公知の形状を指しているもののようであって、本件登録意匠の要部とはなりえない。
以上のとおり、原告が本件登録意匠の要部であると主張しているものは、全て公知のものであって、これを本件登録意匠の要部であるとして、意匠の類似範囲を画定するための根拠とすることはできない。
(三) 乙第八号証(意匠登録三三八六七〇号)は、本件登録意匠の先行意匠であるところ、乙第八号証の意匠と本件登録意匠とを対比すると、本件登録意匠は、<1>妻板の下部に、「エラ状下部突出部」が形成されていること、<2>首部の高さが著しく低くなっていること、<3>外板下部に外気取入口(開口部)が設けられていること、<4>外気取入口(開口部)から、下部ルーバーが露出していることにおいて、乙第八号証の意匠と異なっている。本件登録意匠は、公知の乙第八号証の先行意匠が存在するにもかかわらず、独立の意匠権として登録されているから、右相違点は、本件登録意匠の特徴部分をなしているものである。
次に、本件登録意匠と本件類似意匠とを対比すると、
(1) 妻板において、エラ状に大きく斜め下方に張り出した「エラ状下部突出部」を有しており、基部辺(屋根面から垂直な立ち上がり部)が極端に短くあるいは存在せず、エラ状下部突出部が屋根面に近接して低い位置に形成されているので、妻板全体の重心が低くなっており、その外観全体から、重量感・安定感が強く印象付けられること、
(2) 外板下部において、外気取入口を通じて下部ルーバーが補強板と共に格子状に露顕しており、この点が看者に強いアクセントを与えること、
(3) 正面外観において、中部面の占める割合が正面外観のほとんど大部分を占め、下部面がなく、中部面が正面外観において目立って強調されること、
(4) 外部から見ることができる内部構造において、上部ルーバー及び下部ルーバーの二つのルーバーを有していること、の四点を共通の外観としている。
以上によると、本件登録意匠の要部は、右(1)ないし(4)であって、本件登録意匠の類似範囲は、右(1)ないし(4)の外観形状を全て具備する意匠にのみ及ぶと解される。
(四) 本件登録意匠の出願経過において、審査官が、本件登録意匠の意匠登録願に対し、本件登録意匠が乙第一〇号証の三と類似であることを理由として意匠登録願の拒絶査定をしたところ、原告は、意見書及び審判理由補充書において、本件登録意匠が右(三)の(1)ないし(4)の各特徴を有し、この点において引用例と異なる旨を主張し、その結果、本件登録意匠の登録が認められたものである。したがって、本件登録意匠の類似範囲は、右(三)の(1)ないし(4)の特徴を具備する意匠に限定されるものであり、原告が、右の範囲を超えた本件登録意匠の類似範囲を主張することは禁反言の法理によって許されない。
3 請求の原因4は争う。
被告意匠は、次の形態を有するものである。
(一) 妻板において、(1)下部辺と中部辺の折り曲がり角度が小さいので下部突出部はほとんど形成されておらず、したがって、エラ状に斜め下方に大きく張り出した「エラ状下部突出部」は存在せず、(2)基部辺は、本件登録意匠の基部辺の約五倍の長さを有しており、下部突出部は屋根面より離れ、高い位置に形成されているので、(3)妻板全体の重心が高くなっており、その外観全体から、スマートな印象を受ける。
(二) 外板下部において、(1)外気取入口は存在せず、したがって、内部も露出せず、(2)簡素ですっきりした印象を与える。
(三) 正面外観において、(1)下部面が存在し、中部面と下部面がほぼ半々の割合を占めており、ほぼ中央部に近いところに水平線(中部面と下部面の境界線)が一本のみ表われており、屋根面に接する下部には三本の水平線が現れており、(2)中部辺が特に強調されることはなく、屋根の傾斜面に沿って見上げた視点において、下部面の反り上がった感じが強調されている。
(四) 外部から見ることのできる内部構造において、上部ルーバーのみを有しており、下部ルーバーを有していない。
4(一) 請求の原因5(一)は否認する。
同5(二)のとおり、本件登録意匠と被告意匠に、原告指摘の形態上の差異があることは認める。ただし、これらの差異が細部の形態上の差異であるとはいえないから、同五(三)及び(四)は否認する。
(二) 被告意匠は、本件登録意匠の出願経過において原告が本件登録意匠の特徴として主張した前記2(三)の(1)ないし(4)の各特徴を全く具備していないから、被告意匠は、本件登録意匠の類似範囲に属しない。
(三) 本件登録意匠と被告意匠との構造的差異
ルーフベンチレーターは、機械力を用いず建物内部の暖気の上昇力を利用して換気を行う自然換気装置の一種であって、工場等の建物の屋根、特に傘形の屋根の頂部に取り付けられ、雨水が入らないようにして、建物内部の暖気を排気して換気を行うものである。ルーフベンチレーターは、「内通気路」と「外通気路」からなる基本的構成を有し、その換気及び排水という機能に応じて、「換気通路」及び「排水経路」を有している。
一般的なタイプのルーフベンチレーターにおいては、外板の下部に自然風の進入を防ぐ遮風板が設けられている。これは、勾配のある屋根にルーフベンチレーターを設置する場合には、自然風が直接ルーフベンチレーター内に侵入するので、外板下部に遮風板を設け、外板下部から自然風が吹き込まないようにする必要があるからである。被告意匠のルーフベンチレーターもこのタイプのルーフベンチレーターであって、外板の下部面がこの遮蔽板に該当する。
これに対し、外板下部に遮風板を設けず、外気取入口を設けたタイプのルーフベンチレーターがある。これは、自然風を積極的にルーフベンチレーター内部に取り入れようとするする思想に基づくもので、外板下部には、外気取入口が設けられ、自然風が取り入れられるようになっている。この外気取入口を設けるタイプにおいては、換気経路及び排水経路に加えて、外気取入口→外通気路→排気口という自然風経路が存在することになる。本件登録意匠のルーフベンチレーターは、このタイプのルーフベンチレーターである。
したがって、本件登録意匠は、被告意匠と異なり、外板の下部面がなく、その代わりに、幅の広い外気取入口が設けられており、基本的なタイプを異にするものである。
右のとおり、本件登録意匠は、外気取入口を設けた特殊なタイプのルーフベンチレーターに属し、しかも外通気路上部の上部ルーバー及び外気取入口付近の下部ルーバーの二重のルーバーを有する方式を採用したものである。
これに対し、被告意匠のルーフベンチレーターは、外板下部に遮風板を設けた一般的なタイプのルーフベンチレーターに属し、ルーバーも外通気路上部にのみ設ける方式を採用しており、本件登録意匠とは基本的なタイプ及びそのルーバーの方式を異にする。
また、本件登録意匠のルーフベンチレーターは、外気取入口を設けたタイプのルーフベンチレーターであるから、換気経路、排水経路の他に、自然風経路を有しているが、被告意匠は、外板の下部の遮風板によって自然風の侵入を防いでいるので、右のような自然風経路を有していない。
(四) 本件登録意匠と被告意匠との外観上の差異
(1) ルーフベンチレーターは、その外観構成において、装飾性に乏しく、その構造、機能から強い制約を受けている。本件登録意匠と被告意匠においても、前記のとおり構造上の大きな差異を有しているが、この構造上の差異は、単に内部的な差異に止まらず、両意匠の外観上の顕著な差異として表われている。
すなわち、本件登録意匠の外観形状は、前記の特殊な構造、機能を有する結果、(ア)外板下部に幅広い外気取入口が表われており、(イ)しかも、外気取入口を通じて、下部ルーバーが、補強板と共に、格子状に露顕しており、(ウ)更に、妻板において、下部辺及び中部辺からなるエラのように大きく斜め下方に張り出した下部突出部を有している、という外観を呈している。
これに対し、被告意匠は、前記のとおりの構造、機能を有する結果、(ア)外気取入口はなく、(イ)したがって、外気取入口を通じて内部が露出することはなく、(ウ)更に、妻板にエラ状の下部突出部は設けられていない、という外観を呈している。
(2) 本件登録意匠と被告意匠における外観形状の差異について具体的に観察すると、次のとおりである。
(ア) 底面図において、本件登録意匠では、幅広い外気取入口が表われており、外気取入口を通じて下部ルーバーが補強板と共に格子状に露見しているのに対し、被告意匠は、外気取入口に対応する場所には、外板下部面(外板下部の遮風板)が表われており、内部は露出しておらず、外気取入口及び下部ルーバーは存在していない。
(イ) 正面図において、本件登録意匠では、上端面、上部面及び中部面から構成されていて、下部面を有しないのに対し、被告意匠では、その外板が、上部面、中部面及び下部面から構成されていて、上端面を有しない。
(ウ) 側面図の妻板の形状において、本件登録意匠では、下部辺及び中部辺からなるエラ状に大きく斜め下方に張り出した下部突出部(エラ状下部突出部)を有し、したがって、下部突出部の形成位置も低くなっているのに対し、被告意匠では、下部突出部がほとんど形成されておらず、その位置も高い。
(3) ルーフベンチレーターは、工場等の建物の屋根に取り付けられて、雨水等が入らないようにして、建物内部の暖気を排気して自然換気を行うものであるから、その主たる機能は、換気機能及び防雨水機能である。
ルーフベンチレーターは、建築設計を行う建築士等の建築専門家が選択する場合が多いが、これら専門家は、屋根面に設置された外観形態の差異と共に、右換気機能及び防雨水機能、並びにその両機能を導く構造に着目して、ルーフベンチレーターを選択するものである。
本件登録意匠は、外板下部に外気取入口と下部ルーバーを設け、外気取入口から自然風を積極的に取り入れて換気を図るという特殊な機能、構造を有している。外気取入口と下部ルーバーは、ルーフベンチレーターの中心的な機能である換気機能及び防雨水機能に関するものであるから、その存在は、建築専門家の注意を強く引く事項であり、また、その存在は、必然的に外観に表われるから、意匠を認識する場合の主要な着眼点である。
本件登録意匠は、その外観において、外気取入口と下部ルーバーの存在が「妻板におけるエラ状突出形状」及び「下部ルーバーの格子状露出」として特徴的に表われており、その類否判断における重要な判断要素である。ところが、被告意匠は、本件登録意匠と異なり、外気取入口も下部ルーバーも存在しないことが一見して明らかであるから、これらの点に表われる両意匠の差異は、看者には、大きなウエイトをもって見られ、両意匠は、混同されることなく、明確に区別される。
(4) ルーフベンチレーターは、その構成部材を屋根上で組み立てて、屋根の上に取り付けられるものであって、屋根の上で組み付けて全体の形状が現れるという製品としての特性を有するので、ほとんどの場合、看者は、屋根の斜面にそって斜め下方からルーフベンチレーターを見上げることになる。したがって、ルーフベンチレーターの意匠の類否を判断するに当たっても、屋根の斜面にそって斜め下方からの外観形状が最も重要である。
この視点から両意匠を対比すると、本件登録意匠では、中部面の占める割合が正面外観の約六〇%にも及び、しかもそれが中央に位置することから中部面が強く目立って強調される。また、中部面の下に下部面がなく、それに代って、外気取入口が見え、その開口部から下部ルーバー及び補強板とで形成される格子状部が露出しており、この点が強いアクセントを与え、同時に煩雑な印象を与えている。
これに対し、被告意匠では、中部面の占める割合が正面外観の約三〇%と狭く、中部面よりも傾斜角度が急な下部面が目立ち、下部面の反り上がった感じが強調される。また、中部面の下部には下部面、水切りフランジ面及び内板の外側面が見えるだけで排水口は見えず、したがって、内部も露出せず、簡素ですっきりした印象を与え、同時に、内板の外側面に沿って、外板の下端面が一定の間隔で現れており、これが心地よいアクセントとなっている。
したがって、本件登録意匠と被告意匠とは、最も重要な屋根の斜面にそって斜め下方から見上げた視点において、看者に与える印象、美観において顕著な外観上の差異があるから、両意匠は非類似である。
5 請求の原因6は争う。
第三 証拠関係
本件記録中の書証目録記載のとおりであるから、これを引用する。
理由
一 請求の原因1及び2の各事実は当事者間に争いがない。
二 本件登録意匠の構成について
成立に争いのない甲第三号証中の意匠公報並びに弁論の全趣旨によれば、本件登録意匠は、次のとおりの構成を有することが認められる。
1 基本的構成
頂部及び底部を開口させ、対称形に向い合って配置された一対の横長の外板と、右外板の長手方向の両端に、対向する外板の端部の間に設けられた一対の左右対称の妻板とで周側面を囲繞した箱体によって外郭を構成し、右箱体の内側上方に、箱体の長手方向全長に及ぶ切妻屋根状の陣笠と、該陣笠と前後の外板との間の各上部開放面と、箱体の長手方向全長に及ぶ上部ルーバーとを設け、右箱体の内側下方に、前記陣笠の直下方で建屋の屋根の開口部に接続する、一対の横長の水切板の垂直部と前記一対の妻板とで周側面を囲繞した下部開口部と、該各水切板の垂直部と前後の外板との間の各下部開放面と、箱体の長手方向全長に及ぶ下部ルーバーとを設け、右箱体の内側の外板と陣笠及び水切板の垂直部との間に箱体の長手方向と直角に補強板を設け、更に右下部開口部周縁に水切板の折曲部を枠状に設けてなる。
2 具体的構成
(一) 外板は、長手方向に平行な稜線で曲折して、下から順に中部面、上部面、上端面の三つの平面部分からなる横長の板であり、中部面は、外板の下端から上に向って水平面に対し約六五度の傾斜角で外方へ延びる幅広の傾斜面として形成され、上部面は、中部面の上端から上に向って水平面に対し約一三五度の傾斜角で内方へ曲折した傾斜面として形成され、上端面は、外板の上端付近の上部面の上端から垂直に立ち上がった幅狭の面として形成され、中部面の下端縁は、わずかに内方へ曲折して下部開放面の縁部として形成されており、中部面、上部面、上端面の幅の比率は、約一二・五対四対一である。
(二) 妻板は、その頂辺は水平な辺として形成され、底部は屋根の形状に合わせて浅い山形状凹部を示す二辺として形成されており、左右の各辺と上下の各辺とで左右対称で偏平な多角形状を形成しているもので、その左右の辺は、下から順に基部辺、下部辺、中部辺、上部辺、上端辺の各辺からなっていて、基部辺は妻板の下端から垂直に立ち上がったわずかな長さの辺として形成されており、下部辺は基部辺の上端から上に向って水平面に対し約一五度のゆるやかな傾斜角で外方へ延びた辺として形成されており、中部辺は外板の中部面の端部に対応し、上部辺は外板の上部面の端部に対応し、上端辺は外板の上端面の端部に対応するもので、中部辺は下部辺の上端から上に向って水平面に対し約六五度の傾斜角で更に外方へ延びる辺として、上部辺は中部辺の上端から上に向って水平面に対し約一三五度の傾斜角で内方へ曲折した辺として、上端辺は妻板の上端付近の上部辺の上端から垂直に立ち上がったわずかな高さの辺としてそれぞれ形成されている。
(三) 陣笠は、その切妻屋根状の傾斜は極めて緩く、屋根状の頂部の開いた角度は約一六五度であり、その頂部は、外板の上端面の上端及び妻板の頂辺よりも低い位置にあり、正面図、背面図、左右側面図には陣笠は表われない。
(四) 上部ルーバーは、一方の上部開放面につき、平行に二枚づつ補強板を貫通して設けられている。
(五) 水切板は、長手方向に沿って一対設けられた略L字状及び略逆L字状の横長の板であり、一対の水切板の垂直部の下端の内側には建物内部へ通じる下部開口部が形成され、水切板の折曲部は垂直部下端から外側へ屋根面に副う角度で幅狭く曲折する外、妻板の底部にも接続して外側へ屋根面に副う角度で幅狭く曲折して、下部開口部の周縁に枠状に形成されている。
(六) 水切板の垂直部とその外側の外板の中部面の下端との間には幅の広い下部開放面が形成され、下部ルーバーは、一方の下部開放面につき、平行に二枚づつ補強板を貫通して設けられている。
3(一) 原本の存在及び成立に争いのない乙第一〇号証の一ないし八によれば、
(1) 本件登録意匠の審査の過程において、審査官は、昭和五二年九月三〇日付けで、本件登録意匠に係る意匠が先願である意願昭四八-七三〇号の意匠(乙第一〇号証の三)と類似であることを理由として意匠登録願の拒絶理由通知をしたこと、
(2) これに対し、原告は、同年一二月二九日付けで、(ア)本件登録意匠は、右側面図において、屋根面よりわずかの立ち上がり部が見られる線となり、次にゆるい傾斜角を持つ外側方に向うところの斜線となり、それから更に外側方に向って急勾配となって張り出し、ルーフベンチレーターの頂部に近接するところまでこれが延びて止り、今度は内側方に向う斜線となり、しかるのちわずかの立ち上がり部を形成する線となって、頂面に達しているものであり、したがって、屋根面に近接する位置でもって両側方にかなり張り出し突出した形状となっており、極めて安定感を有する形状を呈している、(イ)本件登録意匠と引用例の意匠とでは、ルーバーの有無による差異点がルーフベンチレーターの長手方向の両側部に顕著に現れている旨の意見書を提出したこと、
(3) 審査官は、昭和五三年二月二八日付けで、本件登録意匠の意匠登録願に対し、本件登録意匠に係る意匠を意願昭四八-七三〇号(乙第一〇号証の三)の意匠と意匠全体として観察する場合、側面形状及びルーバーの有無等に相違がみられるが、全体の形状の共通性がより強く印象付られるので、右相違は未だ部分的な相違に止まり類似の範囲を出ないことを理由として拒絶査定をしたこと、
(4) 原告は、昭和五三年四月二二日、審判請求をすると共に、同年五月一二日付けで、(ア)本件登録意匠の右側面図でみるルーフベンチレーターの形状をかたどっている輪郭線は、屋根面に近接する位置でもって両側方、左右反対方向に対称的に非常にゆるい角度で張り出しており、それからそれぞれ外側上方に向って徐々に鉢開きとなるように延びて、最も鉢の開いた地点でもって左右対称に今度は内側方に少し延びて、それから左右同一の地点で、対称的にわずかの立ち上がり部をみせて頂部に達しているものであり、したがって、本件登録意匠は、屋根面に近いところで安定感がもてるように下部が左右に大きく張り出し、それから徐々に上部に向って鉢開き的に開いて行くのである、(イ)本件登録意匠は、外板と陣笠との間にルーバーが二個づつ両側長手方向に設けられており、また、その補強用リブが一定間隔で設けられている、(ウ)本件登録意匠は、底面において、下部ルーバーと右リブが胴体の両側部に表われているなどとし、(エ)また、外部から見ることのできる内部構造において、本件登録意匠は、外板と胴体との間の空間部の上部と下部に二個づつ合計八個の換気整流作用と雨水侵入防止用のルーバーが設けられている、などとした審判理由補充書を提出したこと、
(5) 昭和五五年五月二六日、原査定を取り消す、本件登録意匠は登録をすべきものとするとの審決があったこと、
以上の事実が認められる。
(二) 成立に争いのない甲第四号証、乙第九号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第一〇号証の一、二及び弁論の全趣旨によれば、ルーフベンチレーターは、機械力を用いず建物内部の換気を行う自然換気装置の一種であって、工場等の建物の屋根の頂部に取り付けられ、建物内部を外気に連通させ、かつ、雨水が入らないようにして、建物内部の暖気を排気し、あるいは排煙をして換気を行うものと認められる。また、前記乙第九号証によれば、下部に外気取入口(下部開放面)を有しないタイプのルーフベンチレーターとこれを有するルーフベンチレーターとでは、大気の風速、風向の変化による換気性能等の変化にかなり大きな相違があることが認められる。
そうすると、ルーフベンチレーターにおいては換気機能、排煙機能、雨水の侵入防止機能が重要であり、本件のルーフベンチレーターのような物品の需要者、取引者は、建設会社や設計事務所等の技術者又は工場等ベンチレーターの設置が必要となる建物を有する企業等の設備、衛生担当者等の専門家であって、このような需要者、取引者は、ルーフベンチレーターの換気機能、排煙機能、雨水の侵入防止機能に関心を持ち、また、取付けの対象となる建物に対し構造面で適切に組み合わされ、外観面でも調和するようにルーフベンチレーターを選択するものと認められる。
(三) 右(一)、(二)のような本件登録意匠の出願の経緯及び取引の実情に、成立に争いのない甲第六号証の二(昭和四七年九月一三日発行の意匠公報(意匠登録第三五一二七二号、同号の類似一、二))、甲第一七号証の一ないし六(昭和四七年五月一五日発行の意匠公報六通(意匠登録第三三八六七〇号の類似一ないし六))、乙第八号証(昭和四六年一一月二九日発行の意匠公報(意匠登録第三三八六七〇号))、乙第一七号証(昭和四五年一二月発行のカタログ)によって認められる本件登録意匠の登録出願前に公知となっていたルーフベンチレーターの意匠を併せて考慮すると、本件登録意匠の要部は、本件登録意匠の形態の基調を規定する外板と妻板と水切板の垂直部とによって形成される外観の具体的態様及び下部に外気取入口(下部開放面)を有するタイプのルーフベンチレーターであることの形態上の表われである下部開放面の存在とその具体的態様にあるものと認められる。
すなわち、本件登録意匠の要部は、<1>中部面及び上部面が前記二2(一)認定のとおりの傾斜角と幅を有する外板と、基部辺、下部辺、中部辺及び上部辺が前記2(二)認定のとおりの長さ、傾斜角を有する妻板と、水切板の垂直部とによって形成される、低い位置で下部が大きく側方に張り出し、そこから幅の広い外板中部面が上へ向って外方に開き、幅の狭い外板上部面が上へ向って内方へ曲折する重心の低い安定的な立体としての外観、<2>水切板の垂直部と前後の外板中部面の下端との間に幅の広い下部開放面が形成されている形態、にあるものと認められる。
4 原告は、ベンチレーターにおいて、下部に通気孔を設けて換気容量を大きくすることは、慣用の技術的手段であって、ベンチレーターを設計するに当たって設計者が必要に応じて選択採用する程度の事項であり、このことは、ルーフベンチレーターにおいても同様であり、取引の実情においても別機能の製品として区分けされていないのであって、被告意匠の外板の正面下部の閉塞面に意匠的な創作性があるとはいえない旨主張する。
しかしながら、前記3(二)認定のとおり、外気取入口(下部開放面)の有無は、ルーフベンチレーターの重要な構造上の相違であり、当該ルーフベンチレーターの性能にもかかわるものであって、需要者、取引者である専門家にとっては、どちらでもよいというものではないのであって、意匠的にも区別されるものと認められ、原告の右主張は採用することができない。
また、原告は、本件類似意匠は、外板下部に下部ルーバーが露顕されており、この点で本件登録意匠と明確に相違しているにもかかわらず類似とされているのであるから、外板下部の形態は看者に強い印象を与えるものではなく、したがって、外板下部が閉塞面であっても類似の範疇を出ない旨主張する。しかし、原告は単に意匠図面の正面図(類似意匠においては右側面図)における下部ルーバーの露顕の有無のみをいうが、両者は外気取入口(下部開放面)及び下部ルーバーが存在することにおいて共通しているものであり、また、取引の実情において外気取入口(下部開放面)の有無は看者の関心を惹くことは前記3(二)認定のとおりであるから、原告の右主張は採用することができない。
更に、原告は、取引の実情において、需要者は、実際に設置されているルーフベンチレーターを見ることなく、ルーフベンチレーターの製造業者が発行するカタログを見て選択購入するから、外板下部の開口を斜め下から観察する視点は要部観察から除外される旨主張するところ、需要者において、ルーフベンチレーターの製造業者が発行するカタログを見て選択購入することもあることは想像に難くはないが、前記甲第四号証、甲第一〇号証の一、二、成立に争いのない甲第一三号証、甲第一四号証、乙第一七号証、乙第二〇号証、弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる甲第一二号証、乙第一三号証によれば、少なくとも被告、訴外株式会社坂本商会、訴外内外建材株式会社のカタログには、ルーフベンチレーターの外観図のみならず、型式、寸法、断面図等が詳細に記載されていることが認められ、ルーフベンチレーターの意匠の看者である専門家が、右のようなルーフベンチレーターのカタログを見た場合、外気取入口(下部開放面)の有無に気付かず又は意匠的な観点からこれについて検討をせずに、ルーフベンチレーターを選択、取引することはありえないと認められるから、原告の右主張も採用することができない。
三 被告意匠(一)ないし(四)の構成について
1 別紙(一)記載の意匠図面によれば、被告意匠(一)の構成は、次のとおりであると認められる。
(一) 基本的構成
頂部及び底部を開口させ、対称形に向い合って配置された一対の横長の外板と、右外板の長手方向の両端に、対向する外板の端部の間に設けられた一対の左右対称の妻板とで周側面を囲繞した箱体によって外郭を構成し、右外郭の上に長手方向と直角にクロスバーを横架し、右箱体の内側上方に箱体の長手方向全長に及ぶ切妻屋根状の陣笠と、該陣笠と前後の外板との間の各上部開放面と、箱体の長手方向全長に及ぶ上部ルーバーとを設け、右箱体の内側下方に、前記陣笠の直下方で建屋の屋根の開口部に接続する、一対の横長の水切板の垂直部と前記一対の妻板とで周側面を囲繞した下部開口部を設け、右水切板の垂直部とその外側の外板の下端面との間に極めて狭い幅の排水口を形成し、右箱体の内側の外板と陣笠及び水切板の垂直部との間に箱体の長手方向と直角に補強板を設け、更に右下部開口部周縁に水切板の折曲部を枠状に設けてなる。
(二) 具体的構成
(1) 外板は、長手方向に平行な稜線で曲折して、下から順に下端面、下部面、中部面、上部面の四つの平面部分から形成される横長の板であり、下端面は外板の下端から垂直に立ち上がった幅狭の平面として形成されており、下部面は下端面の上端から上に向って水平面に対し約四〇度の傾斜角で外方へ曲折した幅広の傾斜面として形成され、中部面は下部面の上端から上に向って水平面に対し約六〇度の傾斜角で更に外方へ延びる傾斜面として形成され、上部面は中部面の上端から上に向って水平面に対し約一三〇度の傾斜角で内方へ曲折した傾斜面として形成されており、下部面、中部面、上部面の幅の比率は、約二・五対一・八対一である。
(2) 妻板は、その頂辺は水平な辺として形成され、底部は屋根の形状に合わせて浅い山形状凹部をなす二辺として形成されており、左右の各辺と上下の各辺とで左右対称で偏平な多角形状を形成し、その中央には、長方形状のドアが設置されているもので、その左右の辺は、下から順に基部辺、下部辺、中部辺、上部辺の各辺からなっており、基部辺は、妻板の下端から垂直に立ち上がった比較的長い辺として形成されており、下部辺は外板の下部面の端部に対応し、中部辺は外板の中部面の端部に対応し、上部辺は外板の上部面の端部に対応するもので、下部辺は基部辺の上端から上に向って水平面に対し約四〇度の傾斜角で外方へ曲折した辺として、中部辺は下部辺の上端から上に向って水辺面に対し約六〇度の傾斜角で更に外方へ延びる辺として、上部辺は中部辺の上端から上に向って水平面に対し約一三〇度の傾斜角で内方へ曲折した辺としてそれぞれ形成されている。
(3) 陣笠は、その切妻屋根状の傾斜は極めて緩く、屋根状の頂部の開いた角度は約一五〇度であり、その頂部は、外板の上部面の上端及び妻板の頂辺よりも低い位置にあり、正面図、背面図、左右側面図には陣笠は表われない。
(4) 上部ルーバーは、一方の上部開放面につき、平行に二枚づつ補強板の上に設けられている。
(5) 水切板は、長手方向に沿って一対設けられた略L字状及び略逆L字状の横長の板であり、一対の水切板の垂直部の下端の内側には建物内部へ通じる下部開口部が形成され、水切板の折曲部は垂直部下端から外側へ屋根面に副う角度で幅狭く曲折する外、妻板の底部にも接続して外側へ屋根面に副う角度で幅狭く曲折して、下部開口部の周縁に枠状に形成されている。
(6) クロスバーは、断面略L字状の部材であり、外板の上端に上部開口部の幅方向に等間隔で九本設けられている。
2 別紙(二)の意匠図面によれば、被告意匠(二)の構成は、次のとおりであると認められる。
(一) 右1認定の被告意匠(一)の基本的構成及び具体的構成(1)、(3)ないし(6)と同様である。
(二) 妻板は、底辺が屋根の形状に合わせて水平な辺として形成されている点を除いて、被告意匠(一)の具体的構成(2)と同様である。
3 別紙(三)の意匠図面によれば、被告意匠(三)の構成は、次のとおりであると認められる。
(一) 右1認定の被告意匠(一)の基本的構成及び具体的構成(1)、(3)ないし(6)と同様である。
(二) 妻板は、その中央にドアが設置されていない点を除いて、被告意匠(一)の具体的構成(2)と同様である。
4 別紙(四)の意匠図面によれば、被告意匠(四)の構成は、次のとおりであると認められる。
(一) 右1認定の被告意匠(一)の基本的構成及び具体的構成(1)、(3)ないし(6)と同様である。
(二) 妻板は、底辺が屋根の形状に合わせて水平な辺として形成されており、その中央にドアが設置されていない点を除いて、被告意匠(一)の具体的構成(2)と同様である。
四 本件登録意匠と被告意匠(一)との類否について
1 本件登録意匠と被告意匠(一)との共通点は、次のとおりである。
(一) 基本的構成について
頂部及び底部を開口させ、対称形に向い合って配置された一対の横長の外板と、右外板の長手方向の両端に、対向する外板の端部の間に設けられた一対の左右対称の妻板とで周側面を囲繞した箱体によって外郭を構成し、右箱体の内側上方に箱体の長手方向全長に及ぶ切妻屋根状の陣笠と、該陣笠と前後の外板との間の各上部開放面と、箱体の長手方向全長に及ぶ上部ルーバーとを設け、右箱体の内側下方に、前記陣笠の直下方で建屋の屋根の開口部に接続する、一対の横長の水切板の垂直部と前記一対の妻板とで周側面を囲繞した下部開口部を設け、右箱体の内側の外板と陣笠及び水切板の垂直部との間に箱体の長手方向と直角に補強板を設け、更に右下部開口部周縁に水切板の折曲部を枠状に設けてなる点。
(二) 具体的構成について
(1) 外板は、長手方向に平行な稜線で曲折して、中部面、上部面を含む平面部分から形成される横長の板であり、中部面は、下から上に向って外方へ延びる傾斜面として形成されており、上部面は、下から上に向って内方へ曲折した傾斜面として形成されている点。
(2) 妻板は、その頂辺は水平な辺として形成され、底部は屋根の形状に合わせて浅い山形状凹部をなす二辺として形成されており、左右の各辺と上下の各辺とで左右対称で偏平な多角形状を形成しているもので、その左右の辺が、基部辺、下部辺、中部辺、上部辺を含む辺からなっていて、基部辺は妻板の下端から垂直に立ち上がった辺として形成されており、中部辺は外板の中部面の端部に対応し、上部辺は外板の上部面の端部に対応するもので、下部辺は上に向って外方へ曲折した辺として、中部辺は上に向って更に外方へ延びる辺として、上部辺は上に向って内方へ曲折した辺としてそれぞれ形成されている点。
(3) 陣笠は、その切妻屋根状の傾斜が極めて緩く、その頂部は外板の上端及び妻板の頂辺よりも低い位置にあり、正面図、背面図、左右側面図には表われない点。
(4) 上部ルーバーは、一方の上部開放面につき平行に二枚づつ補強枠に支えられて設けられている点。
(5) 水切板は、長手方向に沿って一対設けられた略L字状及び略逆L字状の横長の板であり、一対の水切板の垂直部の下端の内側には建物内部へ通じる下部開口部が形成され、水切板の折曲部は垂直部下端から外側へ屋根面に副う角度で幅狭く曲折する外、妻板の底部にも接続して外側へ屋根面に副う角度で幅狭く曲折して、下部開口部の周縁に枠状に形成されている点。
2 本件登録意匠と被告意匠(一)との相違点は、次のとおりである。
(一) 基本的構成について
本件登録意匠は、下部開放面及び下部ルーバーを備えており、他方、外郭の上にクロスバーを備えていないのに対し、被告意匠(一)では、排水口を備えているが、下部開放面も下部ルーバーも備えておらず、他方、外郭の上にクロスバーを備えている点。
(二) 具体的構成について
(1) 外板について、本件登録意匠では、上端面を備え、他方、下部面と下端面とを備えておらず、また、幅広の中部面を有しているのに対し、被告意匠(一)では、上端面を備えておらず、他方で約四〇度の傾斜角で外方へ傾斜した幅広の下部面と下端面とを備えている点、並びに、中部面について、本件登録意匠では、約六五度の傾斜角で外方へ曲折した幅広の傾斜面であるのに対し、被告意匠(一)では、約六〇度の傾斜角で外方へ曲折した傾斜面であり、上部面について、本件登録意匠では、約一三五度の傾斜角で内方へ曲折した傾斜面であるのに対し、被告意匠(一)では、約一三〇度の傾斜角で内方へ曲折した傾斜面であり、面の幅の比率が、本件登録意匠では中部面対上部面対上端面が約一二・五対四対一であるのに対し、被告意匠(一)では、下部面対中部面対上部面が約二・五対一・八対一である点。
(2) 妻板について、本件登録意匠では、上端辺を有しているのに対し、被告意匠(一)では、上端辺を有していない点、基部辺について、本件登録意匠では、外板の下端から垂直に立ち上がったわずかな長さの辺として形成されているのに対し、被告意匠(一)では、妻板の下端から垂直に立ち上がった比較的長い辺として形成されており、下部辺について、本件登録意匠では、約一五度のゆるやかな傾斜角で外方へ曲折した辺として形成されているのに対し、被告意匠(一)では、約四〇度の傾斜角で外方へ曲折した辺として形成されており、中部辺について、本件登録意匠では、約六五度の傾斜角で外方へ曲折した辺として形成されているのに対し、被告意匠(一)では、約六〇度の傾斜角で外方へ曲折した辺として形成されている点、並びに、被告意匠(一)では、妻板の中央に長方形状のドアが設置されているのに対し、本件登録意匠ではこれがない点。
(3) 陣笠の角度が、本件登録意匠では約一六五度であるのに、被告意匠(一)では約一五〇度である点。
(4) 上部ルーバーが、本件登録意匠では、補強板を貫通して設けられているのに対し、被告意匠(一)では、補強板の上に設けられている点。
3 右2認定のような本件登録意匠との相違点を有する被告意匠(一)は、<1>下部面、中部面及び上部面が前記三1(二)(1)認定のとおりの傾斜角と幅とを有する外板と、基部辺、下部辺、中部辺及び上部辺が前記三1(二)(2)認定のとおりの長さ、傾斜角を有する妻板と、水切板の垂直部とによって形成される、基部が直立し、その上端から近似した幅の外板の下部面、中部面が曲折して斜め上方に開き、高い位置で両側方に張り出し、幅の狭い外板上部面が上へ向かって内方へ曲折する腰高、上拡がりの外観、<2>水切板の垂直部と前後の外板下部面との間に極めて幅の狭い排水口が形成されているのみで、下部開放面が形成されていない点で、前記二3(三)認定の本件登録意匠の要部とは明らかに異なり、看者に本件登録意匠と明瞭に異なる印象を与えるものと認められる。
本件登録意匠と被告意匠(一)との間には右1認定のとおりの共通点があるが、これらは、この種物品に通有の態様であるか、両意匠を概括的にとらえる限りで認められる共通点で具体的態様としては相違点を含むものである等の看者の注意を惹かない共通点であって、前記認定の本件登録意匠の要部にかかわる相違点のもたらす両意匠の別異の印象を打ち消して、両意匠が類似するとの印象を看者に与えるものではない。
よって、被告意匠(一)は本件登録意匠に類似するものとは認められない。
五 本件登録意匠と被告意匠(二)ないし(四)との類否について
1 本件登録意匠と被告意匠(二)との対比
(一) 本件登録意匠と被告意匠(二)との共通点は、次のとおりである。
(1) 右四1(一)、(二)認定の本件登録意匠と被告意匠(一)との間の基本的構成についての共通点及び具体的構成についての共通点(1)、(3)ないし(5)と同様である。
(2) 妻板の底辺の形状の点を除いて、本件登録意匠と被告意匠(一)との間の具体的構成について共通点(2)と同様である。
(二) 本件登録意匠と被告意匠(二)との相違点は、次のとおりである。
(1) 右四2(一)、(二)認定の本件登録意匠と被告意匠(一)との間の基本的構成についての相違点及び具体的構成についての相違点(1)、(3)及び(4)と同様である。
(2) 妻板の底部において、本件登録意匠では、浅い山形状凹部をなす二辺として形成されているのに対し、被告意匠(二)では、水平な一辺として形成されている点で相違している他、本件登録意匠と被告意匠(一)との間の具体的構成についての相違点(2)と同様である。
2 本件登録意匠と被告意匠(三)との対比
(一) 本件登録意匠と被告意匠(三)との共通点は、次のとおりである。
右四1(一)、(二)認定の本件登録意匠と被告意匠(一)との間の基本的構成についての共通点及び具体的構成についての共通点(1)ないし(5)と同様である。
(二) 本件登録意匠と被告意匠(三)との相違点は、次のとおりである。
(1) 右四2(一)、(二)認定の本件登録意匠と被告意匠(一)との間の基本的構成についての相違点及び具体的構成についての相違点(1)、(3)及び(4)と同様である。
(2) 妻板の中央のドアの有無の点を除いて、本件登録意匠と被告意匠(一)との間の具体的構成についての相違点(2)と同様である。
3 本件登録意匠と被告意匠(四)との対比
(一) 本件登録意匠と被告意匠(四)との共通点は、次のとおりである。
(1) 右四1(一)、(二)認定の本件登録意匠と被告意匠(一)との間の基本的構成についての共通点及び具体的構成についての共通点(1)、(3)ないし(5)と同様である。
(2) 妻板の底辺の形状を除いて、本件登録意匠と被告意匠(一)との間の具体的構成についての共通点(2)と同様である。
(二) 本件登録意匠と被告意匠(四)との相違点は、次のとおりである。
(1) 右四2(一)、(二)認定の本件登録意匠と被告意匠(一)との間の基本的構成についての相違点及び具体的構成についての相違点(1)、(3)及び(4)と同様である。
(2) 妻板の底部において、本件登録意匠では、浅い山形状凹部をなす二辺として形成されているのに対し、被告意匠(二)では、水平な一辺として形成されている点で相違している他、妻板の中央のドアの有無の点を除いて、本件登録意匠と被告意匠(一)との間の具体的構成についての相違点(2)と同様である。
4 被告意匠(二)ないし(四)は、本件登録意匠に類似するものとは認められない。
その理由は四3で被告意匠(一)について判断したとおりである。
六 よって、本訴請求は、その余の点について判断するまでもなくいずれも理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条の規定を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 西田美昭 裁判官 宍戸充 裁判官 櫻林正己)
別紙 (一)
<省略>
別紙 (二)
<省略>
別紙 (三)
<省略>
別紙 (四)
<省略>
日本国特許庁
昭和55.11.21発行 意匠公報(S) 49-41
544949 出願 昭 49.2.25 意願 昭 49-6476 登録 昭 55.9.19
審判昭 53-5980
創作者 坂本光男 松戸市稔台774番1号
意匠権者 坂本光男 松戸市稔台774番1号
代理人弁理士 永田秀男
意匠に係る物品 ルーフベンチレーター
説明 背面図は正面図と、左側面図は右側面図と同一にあらわれる
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本件登録意匠の参考図
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意匠公報
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